会長挨拶
日本フレキシブルコンテナ工業会
会長 櫻井 隆悦
当工業会は1967年(昭和42年)6月、「日本フレキシブルコンテナ工業会」として発足し、2017年(平成29年)6月を以って創立50周年を迎え、今日に至っています。工業会の活動には、材料メーカー・メンテナンス業者並びに需要家皆様の絶大なるご支援とご協力があってこそ、今日の活動につながっています。当工業会の半世紀を振り返ると、産業界の時代変遷に沿って物流システムが変わり、市場は縮小や消滅の波に晒されてきました。現在は、企業の海外への生産拠点の移転にはじまり、グローバルな輸入原料の展開、国内生産設備の老朽化も重なって、日本市場は大きな転換点にも差し掛かっています。また、2024年問題をきっかけに、物流業界で効率化に向けた改革が動き出しています。
工業会は、フレキシブルコンテナを扱う国内唯一の団体です。国内の物流システムの変化に対応しながら、フレキシブルコンテナの「安心・安全」をモットーとした製品供給をすることが重要な課題であると考えおり、フレキシブルコンテナを安全に取り扱っていただくための活動にも取り組んでまいります。
工業会内の技術委員会では、製品の耐候性や安全率などJIS規格について熱心に取り組んでまいりました。静電気災害防止コンテナの規定を制定するなど、多様化した用途に対しても速やかに対応しています。13年前に発生しました東日本大震災では、JIS規格に準じた除染用コンテナを市場に供給しました。時間の経過とともに工業会会員の製品の良さが需要家様には再認識されています。今後は、ISO規格、IEC規格などの国際基準との整合性や統一化などにより一層尽力を期してまいります。
最後になりましたが、半世紀に亘って工業会会員のコンテナ製品をご愛顧していただき、誠にありがとうございます。引き続き末永いご支援とご指導の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2024年6月
万全の品質・安全保障体制
総額20億円まで工業会が責任保証
工業会では、フレキシブルコンテナを安心してご使用いただけるように、品質の向上とアフターサービス体制の強化に取り組んでいますが、そのひとつに「生産物賠償責任(PL)保険制度」があります。
これは、会員メーカーの製品が原因で起こった人身事故や物的事故、あるいはメンテナンスの欠陥による事故に対して、総額20億円を限度に工業会が補償するもので、メンテナンスまでを含めた製品のライフサイクル全般にわたって品質保証を行うこの制度は、現在でも新しいシステムとして各方面の注目を集めています。
対象品目 | JIS規格製品および工業会の品質保証マークの付いた製品 |
内容 | 会員メーカーの製造上の欠陥や会員メンテナンス工場の補修、洗滌ミスが原因で、 日本国内で労働災害事故が起こった場合、工業会がこれを補償する |
補償期間 | 保険加入期間中(毎年更新)に発生した事故で、法律上の賠償責任を負うもの。 (補償期間の時効はPL法10年、民法20年) *日本フレキシブルコンテナ工業会のPL保険制度では、製造物責任法及び 民法による法律上の損害賠償責任について、双方を対象としております。 これにより法律上、上記時効が10年と20年となります。 |
補償限度額 | 1事故(対人、対物含む)につき20億円(ただし、対人1名につき5億円) |
品質保証書の発行と品質保証マーク
工業会では、賠償責任保険制度の円滑な運用を図り、品質の保証を徹底させるために、製品に「品質保証マーク」を表示しています。この保証マークはJISに定められた品質管理と検査基準のもとに製造されたフレキシブルコンテナに表示するもので、万一の労働災害時には最高20億円までの補償を受けられる保険対象製品であることを表わしています。この保証は、単に製品だけでなく、製品の補修、洗滌、管理等にも適用されます。
さらに、万全の品質保証体制を実現するために、ランニングJ形1種については「品質保証書」を発行、その他の種類については「品質保証ラベル」を貼付し、災害発生時の補償もれ防止を図っています。
新JIS規格の発行により、この品質保証ラベルは、新しいラベルに変更しています。とくに、クロスコンテナ用はシングル形とスタンダード形の2種類となりました。
正しい取扱いをまとめた安全作業基準を発行
大量輸送容器には、常に細心の注意が要求されます。工業会では、コンテナの正しい取り扱い方法の周知徹底を図るために、「安全作業基準」を作成しています。
この基準は、厚生労働省の指導によって作成したもので、同省の外郭団体である陸上貨物運送事業労働災害防止協会に委託してまとめたものです。作業ミスによる事故の撲滅を目指し、幾度かの改訂を経ています。
修理基準作成と改定
メンテナンス体制の充実と修理技術の向上・標準化を図るために「修理基準」を設け、修理業者により技術的格差が出ることを防ぎ、サービス技術水準の向上と安全性の一層の向上を目指しています。そして、数年間隔で見直しなども行っており、改訂版を発行しています。
広汎な広報活動
定期的な事業活動とは別に、「安全作業ポスター」の作成やリサイクルプラントの見学会など、広汎な広報・事業活動を行っています。
安全作業ポスターは、コンテナの作業上の安全チェックとして、作業現場にポスターを貼ることによって、常に安全に心がけてもらおうというもので、2種類のポスターを作成、配布しています。
社会への貢献
物流合理化を通じて社会に貢献しています
かつて高度経済成長によって物流の近代化が急速に発展しました。膨大な流通量を有する粉粒体の物流革新に、輸送包装の面から寄与してきたフレキシブルコンテナは、積載効率の向上、作業の機械化の促進などによってトータルな輸送システムを形成し、物流に欠かせない大きな存在となりました。
そこで、大量輸送容器による物流合理化を通じて、産業界の発展に寄与する事を目的に、日本フレキシブルコンテナ工業会が1967年に設立されました。
それから40年以上が過ぎ、現在のフレキシブルコンテナは輸入品が圧倒的なシェアを占め、用途も多方面に利用されるようになっています。その間、工業会は、各種の品質・安全保証体制の確立と、作業基準及び修理基準の発行、メンテナンス体制の充実など、より一層の向上をめざしてきました。加えて、
①「環境」というテーマでの再資源化(リサイクル)の推進
②多角化する輸入コンテナへの対応
③関連する物流団体や諸官庁との交流
④生産・輸入統計の作成からコンテナの需要予測の調査研究
⑤事業活動や業界の社会的認識を高めるためのPR活動
⑥イベント、展示会への協賛協力
⑦技術研修会の開催
など、さまざまな活動を行っています。
工業会および会員各社は、お客様に最良の製品を提供することが最大の使命であると考え、会員へのサービスはもとより、お客様のささいな疑問にもお応えできるよう、万全を期しています。それは、お客様に「安全と安心」を提供したいという気持ちからです。今後とも、関係各位の皆様には、私たち工業会の役割を理解していただき、これまで以上にご指導賜り、価値のある団体として育てていただきたいと考えています。